1.「イージーDNAピュア」について
「イージーDNAピュア」は、Whatman社®の特許であるFTA技術®をそのままに、実験動物向けの仕様・デザインを施した、核酸の抽出・精製・保存用カードです。
ごく少量の試料(マウスの尻尾からの血液など)を滴下するだけで、試料中の核酸がカード上に固定・安定化されます。カードの一部をパンチで抜き取り、精製試薬とバッファーによる簡単な洗浄工程を経て、有機溶媒などを使用することなく、短時間でPCR用テンプレートとしての使用が可能となります。
また、DNAを固定化したカードは、室温で長期(少なくとも10年)にわたり安定的に保存することができます。カード上のDNAはヌクレアーゼ、酸化、紫外線からも保護されます。また、カードに接触した有機体は破壊されるため、バクテリアやその他の微生物が成長することを防ぐほか、保存や輸送においては、ディープフリーザーや特殊な条件を必要としません。
「イージーDNAピュア」は、12連のサークルを持ち、雌雄の別、個体ID、動物種名、系統名、世代数などの情報を記載できるようにデザインしてあります。代表的な実験動物であるマウスやラット、ウサギなどにも使用しやすく、管理しやすい形状です。
2.操作方法
(1)準備するもの
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PCR用抽出精製 |
保存 |
| イージーDNAピュア |
○ |
○ |
| FTA精製試薬(別売) |
○ |
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| パンチャー(別売)* |
○ |
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| TE -1バッファー** |
○ |
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| カッティングマット(別売) |
○ |
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| 保護用ポーチ |
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○ |
| 乾燥剤 |
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○ |
* :ハリスマイクロパンチまたはハリスユニコアパンチを別売。
実験動物用イヤーパンチャーも使用できます。
**:各ご施設で調製する必要があります。調製方法は4を参照。
(2)操作方法(マウステイルから採取する場合)
a.イージーDNAピュアへの血液試料アプライ
- あらかじめ情報記入欄に個体情報を記しておきます。
- マウスの尾を先端から約1.0cm切断します。
- ただちに切断部から直接、カードサークルに血液を塗布・アプライします。切断片からの血液採取で、その場で作業ができない場合は、切断片を適当な容器に入れて氷冷保存したうえで2時間以内にカードにアプライしてください。
サークルには20μL以上の血液をアプライしないでください。
- 室温で最低でも1時間、自然乾燥させます。ドライヤーなどを用いる加熱乾燥は行わないでください。
- カードを保存する場合は、低湿度に管理された乾冷所に保管するか、乾燥剤を入れた保護用ポーチに入れて保管してください。保護用ポーチで長期保存する場合は、6ヶ月ごとに乾燥剤を交換するようにしてください。
b.マウステイルから血液が採取できなかった場合
- マウステイル溶解液(Digested Mouse Tail)を以下の手順で用意します。
- 1.5mL容量のマイクロチューブに、新鮮な状態のマウステイル、または-20℃でエタノール保存されたテイルを入れます。エタノール保存した尾の場合、余分なエタノールを落として蒸発するまで空気乾燥させた後に、以下の手順に進んでください。
- TNESバッファー(10mM Tris, pH 7.5, 400mM NaCl, 100mM EDTA, 0.6% SDS)600μLと、プロテイナーゼK(10mg/mL)35μLをマイクロチューブに加えて、55℃で8〜24時間インキュベートします。
- 組織片を避け、マウステイル溶解液5μLをイージーDNAピュアのサークルに滴下します。滴下部を明確にしておくために、鉛筆またはボールペンで滴下箇所を囲んでください。
- 室温で最低でも1時間、自然乾燥させます。ドライヤーなどを用いる加熱乾燥は行わないでください。
- カードを保存する場合は、低湿度に管理された乾冷所に保管するか、乾燥剤を入れた保護用ポーチに入れて保管してください。保護用ポーチで長期保存する場合は、6ヶ月ごとに乾燥剤を交換するようにしてください。
c.PCR解析のためのサンプルディスク準備
- 試料をアプライしたカードサークルが充分に乾燥していることを確認します。
- イージーDNAピュアをカッティングマット上に置きます。別売のパンチャーで1.2〜1.5mmのディスクを打ち抜きます。
- ディスクがパンチャーに入ったら、PCRチューブまたはトレー内に向けて射出プランジャーを押し下げて、ディスクを移し入れます。
クロスコンタミネーションを防ぐために、パンチャーの先端部分はディスクを打ち抜くたびに、エタノール洗浄を行うか、イージーDNAピュアの未使用部分(小さなサークル)を1回打ち抜いてください。
- FTA精製試薬200μLをPCRチューブに加え、軽く振とうした後、室温で5分間インキュベートします。
- ピペッターでチューブ内の精製試薬を吸引除去します。
- 上記4〜5の工程をさらに2回、計3回繰り返します。
- TE -1バッファー(10mM Tris-HCl, 0.1mM EDTA, pH8.0)200μLを加え、室温で5分間放置します。
- ピペッターでチューブ内のバッファーを吸引除去します。
- 上記7〜8の工程を繰り返し、計2回洗浄します。
- PCRを行う前に、ディスクは室温で約1時間(または56℃で10分間)乾燥させます。
d.PCR解析
洗浄、乾燥させたサンプルディスクは、標準プロトコールに沿ってPCR解析に用いることができます。
ディスクはPCR反応過程に含まれ、ディスクを加えることにより反応ボリウムを変えたり、PCR条件を変更設定する必要はありません。